砥石の結合剤 / ボンド

一般的にはボンドと呼ばれることの方が多いようです。ボンドは砥粒をつなぎとめる役割を持ちますが、摩耗した砥粒を切り離し、エッジの立った新たな砥粒の頭を出させる自生作用の役割も持ちます。砥石の切れ味を持続させるためには、この自生作用の働きが重要になります。

比較的柔らかいボンドでは自生作用が働き、切れ味の良い砥石となりますが、柔らかすぎると摩耗しきってない砥粒まで欠落してしまい、異常摩耗の原因となります。逆にボンドが硬すぎると摩耗した砥粒が欠落せずに残ってしまい、研削能力を失った砥粒を材料に押し付けるだけとなってしまいます。

また、ボンドの硬さは面粗さにも影響を与えます。硬いボンドでは砥粒の保持力が強いため砥粒の突き出し量が大きくなる傾向にあり、その結果、砥粒当たりの切り込み量が大きくなり、面粗さも悪い方向に向かいます。面粗さを良くしたい場合は、ボンドを柔らかくすることで改善することもできます。


ボンドの種類

ボンドの種類は大きく分けるとメタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド、電着の4つに分類することができます。

レジンボンド

樹脂をベースとした柔らかいボンドです。砥石は摩耗しやすいですが、自生作用が働き切れ味が持続するため、良好な面が得られます。面仕上げや、硬い素材の粗加工等に向いています。また、台金をアルミで製作でき、大径の砥石が可能ですので、平面研削盤など大型の砥石を使用する設備ではレジンボンドを選択する場合が多いです。

メタルボンド

金属をベースとした硬いボンドです。砥石が摩耗しにくくコストパフォーマンスに優れています。砥粒の突き出し量はレジンより大きいですが、目詰まりや目つぶれを起こすと加工が困難になります。

面粗さが比較的粗くなるため、粗加工や中仕上げ加工で多用されますが、形状変化が少ないので、細粒を使用することで仕上げ加工としても使用されます。

ビトリファイドボンド

セラミックスをベースとした硬いボンドです。砥粒の保持力が強く、切り屑の排出性にも優れています。また、自生作用が活発に働き、目つぶれしにくいのも特徴です。粗加工や、難削材の加工の向いており、熱に強いので高速研削が可能です。また、熱膨張が少なく、高精度加工が可能になりますので細粒を使用することで仕上げ加工としても使用されます。

強い力が加わると、砥石が壊れやすいというデメリットもあります。

電着

台金にニッケルなどの金属で砥粒を固定した砥石です。台金の形がそのまま砥石の形になるため、複雑な形状が可能で、価格も比較的安価です。砥粒の突き出し量が大きく、切れ味に優れていますが、他のボンドとは違い、基本的には砥粒層が一層しかなく、寿命が短いのが難点です。他のボンドよりも短納期対応が可能で、様々な場面で使用されます。


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