穴加工

穴あけ加工では主にステップ加工、ノンステップ加工、ヘリカル加工が使用されます。それぞれ特徴がありますので様々な面から比較し、検討する必要があります。


ステップ加工

ステップ加工ですが、ドリルサイクルとも呼ばれ金属加工では最もよく用いられる方法で、セラミックスの加工でも似たような特徴があります。切り屑の排出性に優れ安定した加工が可能ですが、ステップ時に発生する刃先の擦り現象が砥石の寿命を縮めてしまいます。また加工物を削っていない空移動の時間が多いので、深穴加工では加工時間がどうしても長くなってしまいます。

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ノンステップ加工

ワンパスで穴あけを行うのがノンステップ加工です。常に加工物を削っているので無駄な時間がなく、ステップ加工の半分以下の加工時間で穴あけが可能になります。ただし、常に加工物に当たっているということは、熱の発生が大きく、切り屑の排出性も問題になるので、内部給油方式を用いて冷却し、切り屑を強制的に排出させる必要があります。

ステップ加工、ノンステップ加工ともに、ドリル形状の電着砥石か、コアドリル形状の電着、又はメタルボンドの砥石を使用します。コアドリルの場合は真ん中に芯が残るので、センター穴が開いているパイプ形状の砥石を使用します。また、真下に負荷がかかるので抜けカケ対策が必要です。セラミックスは非常にカケ易いので、金属以上に気を使う必要があります。

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ヘリカル加工

工具に円移動をさせながらその回転軸と平行に切り込んでいくのがヘリカル加工です。ステップ加工と同等かそれ以上の加工時間がかかってしまいますが、ステップ、ノンステップ加工では、砥石径と同じ径の穴しかあけられないのに対し、一本の砥石で様々な径の穴をあけることができます。そしてヘリカル加工のもう一つの大きなメリットは抜けカケが出にくいことです。ステップ加工やノンステップ加工では切り込んでいく方向、つまり真下に大きな負荷がかかってしまうため抜けカケが出てしまいますが、ヘリカル加工では円軌道を描かせているため、回転軸と垂直な方向に負荷が分散し、抜けカケが出にくいと言うわけです。

砥石はコアドリル形状の電着かメタルボンドを使用します。インターナルにスリットを入れたものを用いる場合もあります。また、砥石の先端部分にC、又はR面を入れることで工作物が浮いている状態でも、抜けカケを出さずに加工を行うことができます。

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深穴加工

砥石直径の15倍とか20倍の穴深さになると、砥石もそれに合わせて長く作らなければなりません。その砥石で通常の穴あけ加工と同じ加工条件で加工すれば、ほぼ折れます。深穴の加工はいろいろな加工方法があると思いますが、やはり入口付近だけでもガイド穴をあけておくことをお勧めします。そして内部給油方式を用いれば加工することができます。この時、間違ってもヘリカル加工はしないようにしましょう。横方向に力が掛かってしまうので、砥石がよれてテーパ形状の穴になるか、または折れてしまいます。

リーマ加工

セラミックスで、はめあい公差等の高精度な穴をあける場合、下穴をあけてインターナル砥石で広げるという加工方法があります。この方法は機械精度が悪ければ真円度が出ませんし、ある程度熟練した作業者でなければ失敗する可能性が高いです。また、深穴になれば穴がテーパ形状になってしまうので規格を満たすことができません。

そんな中生まれたのが超砥粒リーマです。電着砥石になるのですが、砥粒を電着した後にマイクロツルーイングという方法で砥粒のバラツキを取ることで、高精度な電着砥石にすることが可能です。

使い方は下穴をあけた後にその超砥粒リーマをゆっくりと穴に入れていくだけのワンパス加工です。これなら熟練した人間でなくてもできますし、深穴の加工も可能になります。下穴の穴径ですが一般的には最終径の0.05mm程度小さめが良いとされていますが、硬度の低い素材であれば0.1mmでも問題なく加工ができます。

砥石の周速度は5m/minくらいに設定し、ゆっくりと落としていきますが、材質によって送り速度は変えてやる必要があります。ただし周速度を上げ過ぎると、穴の中で砥石が暴れてしまい、穴が楕円になったり加工するたびに穴径が変わったりするので注意が必要です。送り速度を遅くし過ぎても同じような現象が起きます。


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